タイトルの説明

1 つの入力ファイルにある各 \book ブロックは、別々の出力ファイルを作り出します。ファイル構造 を参照してください。出力ファイルごとに 3 種類のタイトル エリアが提供されています: 各ブックの最初にあるブック タイトル、各ブック パートの最初にあるブック パート タイトル、各スコアの最初にあるスコア タイトルです。

titlecomposer のようなタイトル フィールドの値は \header ブロックでセットします (\header ブロックの構文や、デフォルトで使用可能なフィールドの完全なリストは、ブック パートとスコアのタイトルのデフォルト レイアウト を参照してください)。ブック タイトル、ブック パート タイトル、スコア タイトルは同じフィールドを含むことができますが、デフォルトではスコア タイトルに使用されるのは pieceopus に限られています。

\header ブロックは、4 つの異なる場所に配置することができ、それぞれが階層構造を作り出します。

それぞれのフィールドの値は、この階層に沿って上書きされます。高い階層にある値は、下の階層においてオーバライドされない限り保たれます。 つまり:

\header ブロックを 4 つの場所全てに配置する必要はありません。どれかを、あるいは全てを省略することができます。同様に、単純な入力ファイルでは、\book\bookpart ブロックを省略することができ、その時にはコンパイル時に暗黙的に作成されます。

ブックにスコアが 1 つだけある場合、\header ブロックは通常、ファイルの先頭に配置するべきです。こうすることで、ブック パート タイトルのみが生成され、全てのタイトル フィールドが使用できます。

ブックにスコアが複数ある場合、\header ブロックの配置方法は出版のスタイルに応じていくつか考えられます。例えば、出版譜が同じ作曲家によるいくつかの楽曲を含む場合、まずファイルの先頭に \header ブロックを配置し、そこでブック タイトルと作曲家を指定して、次にそれぞれの \score ブロック内に \header ブロックを配置し、そこで pieceopus を指定するのが最適でしょう。以下に例を示します:

\header {
  title = "SUITE I."
  composer = "J. S. Bach."
}

\score {
  \header {
    piece = "Prélude."
  }
  \new Staff \relative {
    \clef bass
    \key g \major
    \repeat unfold 2 { g,16( d' b') a b d, b' d, } |
    \repeat unfold 2 { g,16( e' c') b c e, c' e, } |
  }
}

\score {
  \header {
    piece = "Allemande."
  }
  \new Staff \relative {
    \clef bass
    \key g \major
    \partial 16 b16 |
    <g, d' b'~>4 b'16 a( g fis) g( d e fis) g( a b c) |
    d16( b g fis) g( e d c) b(c d e) fis( g a b) |
  }
}

[image of music]

更に複雑な配置をすることもできます。例えば、ブック内の \header ブロックにあるテキスト フィールドは全てのスコア タイトルに表示させることができ、いくつかのフィールドを上書きしたり、手動で表示を抑制することもできます:

\book {
  \paper {
    print-all-headers = ##t
  }
  \header {
    title = "DAS WOHLTEMPERIRTE CLAVIER"
    subtitle = "TEIL I"
    % このブックではデフォルトで LilyPond が生成するフッタを表示しません
    tagline = ##f
  }
  \markup { \vspace #1 }
  \score {
    \header {
      title = "PRAELUDIUM I"
      opus = "BWV 846"
      % このスコアでは subtitle を表示しません
      subtitle = ##f
    }
    \new PianoStaff <<
      \new Staff { s1 }
      \new Staff { \clef "bass" s1 }
    >>
  }
  \score {
    \header {
      title = "FUGA I"
      subsubtitle = "A 4 VOCI"
      opus = "BWV 846"
      % このスコアでは subtitle を表示しません
      subtitle = ##f
    }
    \new PianoStaff <<
      \new Staff { s1 }
      \new Staff { \clef "bass" s1 }
    >>
  }
}

[image of music]

参照

記譜法リファレンス: ファイル構造, ブック パートとスコアのタイトルのデフォルト レイアウト, タイトルのカスタム レイアウト


LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.15 (開発版).