手動改ページ

デフォルトの改ページは、\pageBreak\noPageBreak を挿入することによって上書きすることができます。これらのコマンドは \break\noBreak に似ています。 これらのコマンドは小節線のところに挿入すべきであり、その小節線での改ページを強制/禁止します。当然のことですが、\pageBreak は強制的に改行も行います。

\pageBreak コマンドと \noPageBreak コマンドは最上位レベルに挿入することができ、score や最上位レベルのマークアップの間に挿入することができます。

楽譜の中で、\autoPageBreaksOff\autoPageBreaksOn の間にある音楽は、自動改ページが抑制されます。手動改ページは、これらのコマンドに影響されません。

ragged-rightragged-last と類似で、垂直方向のスペースに対して同じ効果を持つ設定があります。ragged-bottom#t にセットされている場合、システムはページの垂直方向全体には広がりません。ragged-last-bottom#t にセットされている場合 (これがデフォルトです)、最後のページ (あるいは各 \bookpart の最後のページ) の下部に空きスペースが挿入することが許可されます。固定された垂直方向の \paper スペース変数 を参照してください。

改ページは page-breaking 関数によって算出されます。LilyPond は改ページを算出するためにいくつかのアルゴリズムを提供します: ly:optimal-breaking, ly:page-turn-breaking, それに ly:minimal-breaking などです。デフォルトは ly:optimal-breaking ですが、\paper ブロックの中で変更することができます:

\paper {
  page-breaking = #ly:page-turn-breaking
}

1 つのブックが多くの楽譜とページを持つ場合、改ページを処理するのに多くの処理時間とメモリが必要になり、改ページの問題を解決することが困難になる可能性があります。改ページ処理を簡単にするために、\bookpart ブロックを用いてブックをいくつかのパートに分割します: 改ページはパートごとに別々に処理されます。異なるブック パートには、異なる改ページ関数を使用することもできます。

\bookpart {
  \header {
    subtitle = "Preface"
  }
  \paper {
     %% ほとんどテキストしか保持していないパートでは
     %% ly:minimal-breaking が適しています
     page-breaking = #ly:minimal-breaking
  }
  \markup { … }
  …
}
\bookpart {
  %% このパートは音楽を保持しているので、デフォルトの
  %% ly:optimal-breaking を使用します
  \header {
    subtitle = "First movement"
  }
  \score { … }
  …
}

定義済みコマンド

\pageBreak, \noPageBreak, \autoPageBreaksOn, \autoPageBreaksOff

参照

記譜法リファレンス: 改行のための \paper 変数

コード断片集: Spacing

既知の問題と警告

\once 接頭辞は、\autoPageBreaksOn\autoPageBreaksOff には効果がありません。自動改ページがオフになっている時に、改ページを(一時的に) 許可するためにオンにする場合、オフにする前にその後何小節かはオンになっている必要があります (具体的な小節数は楽譜に依存します)。そうしなければ、改ページの機会が失われてしまいます。

LilyPond 記譜法リファレンス v2.25.15 (開発版).