positions プロパティ

positions プロパティは連符、スラー、フレージング スラー、連桁の位置を手動で制御することができ、それにより傾きも制御できます。

ここで、フレージング スラーとスラーが衝突している例を示します:

\relative { a'8 \( ( a'16 ) a \) }

[image of music]

衝突を解決するために、フレージング スラーの両端を上に移動させます。左端を譜中央線よりも 2.5 譜スペース上に設定し、右端を 4.5 譜スペース上に設定すると、LilyPond は候補の中から両端の位置が最も設定に近いフレージング スラーを選択します:

\once \override PhrasingSlur.positions = #'(2.5 . 4.5)
a'8 \( ( a''16 ) a'' \)

[image of music]

これで改善されました。しかしながら、スラーの右端を少し下げてみてはどうでしょうか?そうしようとした場合、この方法では実行できないことがわかります。すでに表示されているスラーよりも右端が下がっている候補は無く、そのような場合には positions は効果を持たないからです。しかしながら、必要があればタイ、スラー、それにフレージング スラーの位置と形状を非常に正確に設定することが できます。正確な設定を行う方法は Modifying ties and slurs で学習してください。

もう 1 つ例を示します。連桁がタイと衝突しています:

{
  \time 4/2
  <<
    \relative { c'1~ 2. e8 f }
    \\
    \relative {
      e''8 e e e
      e e e e
      f2 g
    }
  >>
  <<
    \relative { c'1~ 2. e8 f }
    \\
    \relative {
      e''8 e e e
      e e e e
      f2 g
    }
  >>
}

[image of music]

これは、譜の中央線から 1.81 譜スペース上の位置にある連桁の両端を、例えば、1 に手動で上げることによって解決することができます:

{
  \time 4/2
  <<
    \relative { c'1~ 2. e8 f }
    \\
    \relative {
      \override Beam.positions = #'(-1 . -1)
      e''8 e e e
      e e e e
      f2 g
    }
  >>
  <<
    \relative { c'1~ 2. e8 f }
    \\
    \relative {
      e''8 e e e
      e e e e
      f2 g
      \revert Beam.positions
    }
  >>
}

[image of music]

オーバライドの効果は継続して第 2 小節のボイス 2 の 8 分音符にも適用されていますが、ボイス 1 の連桁には、その後の第 2 小節においてもまったく適用されていないということに注意してください。例に示したように、オーバライドがもう適用されるべきでないところではオーバライドをリバートするべきです。


GNU LilyPond 学習マニュアル v2.25.15 (開発版).