強弱記号の配置

通常、強弱記号は譜の下に配置されます。しかしながら、\dynamicUp コマンドを使うことで上に配置されるかもしれません。強弱記号は、その記号が付いている音符と垂直方向の関係で配置され、フレージング スラーや小節番号などの譜内部オブジェクトのすべてよりも下 (あるいは上) に配置されます。このことは、以下の例のように、到底受け入れられない結果を生み出す可能性があります:

\relative {
  \clef "bass"
  \key aes \major
  \time 9/8
  \dynamicUp
  bes4.~\f\< \( bes4 bes8 des4\ff\> c16 bes\! |
  ees,2.~\)\mf ees4 r8 |
}

[image of music]

しかしながら、音符とそれに付けられた強弱記号が互いに近い場合、自動配置は後の方にある強弱記号を譜から離すことによって衝突を避けます。しかし、以下のかなり不自然な例が示すように、それは最適な配置ではないかもしれません:

\dynamicUp
\relative { a'4\f b\mf a\mp b\p }

[image of music]

‘実際’ の音楽で同じような状況があった場合、音符の間隔をもう少し広げて、すべての強弱記号が譜から垂直方向に同じだけ離れるようにする方が望ましいかもしれません。マークアップ テキストの場合は \textLengthOn コマンドを用いることによってそうすることができますが、強弱記号には等価のコマンドがありません。そのため、\override コマンドを用いてそれを達成する方法を見出す必要があります。

GNU LilyPond 学習マニュアル v2.25.15 (開発版).