4.3.1 midi2ly を呼び出す

midi2ly は Type 1 MIDI ファイルを LilyPond ソース ファイルに変換します。

MIDI (Music Instrument Digital Interface) は電子楽器の標準です: これはケーブル、シリアル プロトコル、それにファイル フォーマットを指定します。MIDI ファイル フォーマットは音楽を他のプログラムにエクスポートするためのデファクトスタンダードなフォーマットです。そのため、MIDI ファイルを扱う機能を持つことは、独自フォーマットを MIDI に変換できるプログラムのファイルをインポートする際に有用です。

midi2ly はトラックを Staff コンテキストに変換し、チャネルを Voice コンテキストに変換します。ピッチには相対モードが使用され、演奏時間は必要がある場合にだけ記述されます。

デジタル キーボードを使って MIDI ファイルを録音し、それを .ly ファイルに変換することが可能です。しかしながら、人間の演奏者のリズムは LilyPond コンバータにかけられる MIDI を作り出せるほど正確ではありません。量子化オプション (-s-d オプション) を指定して midi2ly を呼び出すと、リズムの誤りを訂正しようとしますが、十分機能するとは言えません。このため、人間の演奏で生成された MIDI ファイルを midi2ly で変換することはお勧めできません。

midi2ly は以下のようにコマンド ラインから呼び出します:

midi2ly [option]… midi-file

‘コマンド ライン’ とは、OS のコマンド ラインを意味しているということに注意してください。このことについての更なる情報は 他のフォーマットから変換する を参照してください。

midi2ly には以下のオプションがあります。

-a, --absolute-pitches

絶対ピッチで出力します。

-d, --duration-quant=DUR

音符の演奏時間を DUR で量子化します。

-e, --explicit-durations

すべての音符の演奏時間を出力します。

-h, --help

使用方法の要約を表示します。

-k, --key=acc[:minor]

デフォルトの調をセットします。acc > 0 はシャープの数をセットし、acc < 0 はフラットの数をセットします。短調は :1 で指定します。

-o, --output=file

file に出力します。

-s, --start-quant=DUR

音符の始まりを DUR で量子化します。

-t, --allow-tuplet=DUR*NUM/DEN

連符の演奏時間 DUR*NUM/DEN を許可します。

-v, --verbose

Verbose モード (ログ等が詳細) で実行します。

-V, --version

バージョン番号を表示します。

-w, --warranty

保証と著作権を表示します。

-x, --text-lyrics

すべてのテキストを歌詞として扱います。

既知の問題と警告

アルペジオでの音符のオーバラップは正しく変換されません。最初の音符は読み込まれますが、他の音符は無視されます。すべての音符を同時に開始させ、同じ演奏にして、フレーズ記号かペダル指示記号を追加してください。

GNU LilyPond – アプリケーション使用方法 v2.25.22 (development-branch).