良く聞かれる質問
序章
LilyPondって何ですか?
LilyPondは"自動譜刻システム"です。 組版の専門的知識の無いユーザでも楽譜を美しく仕上げることが出来ます。
自動譜刻ってことは、私が音楽を演奏したらそれを紙に印刷してくれるの?
いいえ。私達のシステムは入力データが実際のある形式を取っていると仮定しています。 楽譜の印刷はそれ自体が非常に難しいので、他の問題までも持ち込みたくはないのです。 人間の演奏をある形式に変換するのは難しい事です。 MIDIキーボードで正しいピッチが得られるとしても、リズムを正しく演奏しないとなりません(生音の録音ではピッチも定まりません)。 例えば、コンピュータはどうやってスタッカートの四分音符とただの八分音符の区別をつければ良いのでしょう? さらには、そういったシステムでは演奏できない曲はどうやって印刷したら良いのでしょう?
楽譜作成ソフトは他にもあります。貴方がたのは何か特別な点でもあるの?
今のコンピュータプリントの楽譜は見映えが良くありません。 退屈で機械的です。一方私たちは、全体的な印象、レイアウトのアルゴリズム、 フォントのデザイン等で伝統的な楽譜彫刻を模倣しました。 その結果、見た目に関しては競合するソフトをしばしば打ち負かす出来映えとなります。
他のコンピュータプリントの楽譜の何がいけないのですか?
- コンピュータプリントの楽譜はしばしばきめ細かい間隔調整を欠いており、そのせいで機械的に見えてしまいます。
- 異なる記号同士の衝突を避けるために、とても広く間隔を空けてあることがあり、空疎な見た目になりがちです。
- レイアウトの重みもその空疎な見た目と対応します。記号は大抵軽すぎますし、線は細すぎます。
- 空白が大きいとページ数を余分に必要とします。
- 連桁(ビーム)が五線を完全に覆わないことがありますし、その一方スラーやタイが五線と接触したりします。 なので、美しくない黒の衝突や白のくさび形状がその周辺に発生してしまいます。
通常、こういう細部は無意識に感じられています。違いを明確に認識するためには、 同じ曲の伝統的な版とコンピュータのものとを、出来れば拡大鏡を使って、比べるのが最良の方法です。 なお、伝統的な版は手作業の物を写真製版したものですので、 記号の配置の微妙なズレや再版時に生じた小さなシミがあることでそうと分かります。
譜刻って何?
元々、楽譜は金属板に記号を反転させて彫刻したもので判を押して印刷していました。 板にインクを乗せ、紙をそれに押しつけて左から右へ印刷していました。 ですから、専門の楽譜組版は今日コンピュータで作られたとしても、譜刻(Engraving)といいます。 これを行う人は、エングレーバーとかコピーイストと呼ばれています。
何故譜刻にこだわるの?
美しい音楽は美しいレイアウトで印刷されるべきだと思うからです。
私も譜刻こだわった方がいいんですか?
良い譜刻だと楽譜を読み易くなり、演奏するのが楽になります。 例えば、レイアウトが曲の雰囲気を反映していれば、解釈をしやすくなります。 余白が詰めてあれば、ページ数が少なく済み譜めくりの回数が少なくなります。 段(“5線”)の水平方向割が個々に違えば、指揮者を見た後で譜面に戻ったとき、今の場所を探すのが楽になります。 パート譜がしっかりした記号と太い線で印刷されていれば、遠くからも読み易いです。
プログラムが特別だと言って売りつけようとしてるでしょう?
いいえ、無料です。ダウンロードページへ行ってみてください。
今は無料でも、将来利用料を請求するつもりでは?
いいえ。無料であるだけでなく、完全なソースコード付きで配布しており、 かつ、再配布、修正、販売、改変を許可します。 言い替えると、LilyPondはオープンソースで、GNUプロジェクトの一部であり、 GNU General Public License.で提供されています。
私たちは料金よりもこのことの方が重要だと考えています。 あなたはプログラムの修正、改造、拡張を行う自由を持っていますし、 他の人にお金を払って代わりにやってもらうこともできるのです。 あなたのシステムが放棄されるのに私たちがあなたにアップグレードを強要することはありませんし、 私たちがプログラムを放棄しても、あなたが失う物はありません。
プログラムについて
LilyPondはどうやって使うのですか?
LilyPondはコンパイラです。音楽は.lyファイルに記入します。 LilyPondがそのファイルを処理すると入力が楽譜に変換されます。 その結果は、PostScriptかSVG形式でディスクに書き込まれ、その後PDFやPNGに変換されます。
入力フォーマットは何ですか?
私たちは.lyフォーマットという独自の入力フォーマットを設計しました。 それは楽譜を表現するための言語です。 その楽譜表現はより単純な楽譜表現から複合され、その中で最も単純な表現は音符と休符です。 このことは代数式の表現がより簡単な表現に分割でき、その最も簡単な要素が数と演算子であるということと類似しています。
良いフォーマットが他にもあります。なぜ、ABC, MusicXML, NIFF, DARMSといったものを使わないのですか?
私たちには次のような必要があるからです- ASCII(文字)であること
- 手入力出来る程度に簡潔であること
- 簡明で形式のしっかりした仕様であること
- 様々な記譜法や印刷形式が可能なように表現力があること
既存のフォーマットでは、これらの要求に答える事が出来ないようです。 例えば、MusicXMLは手では入力できません。 DARMSは機能が限られています。ABCは形式が厳密ではなく、NIFFはバイナリです。 しかしながら、これらのフォーマットを使うことは可能です。 .lyに変換する各種のフィルタがあるからです。
文法はどう勉強すれば良いですか?
チュートリアルを見てください。 短くて、簡単なトピックごとにまとめたもので、これまで時間を掛けて磨きあげてきました。 実際に使ってみながら学びたいのであれば、チュートリアルの楽譜イメージをクリックするとその入力例を見ることが出来ます。
構文を変えつづけないでください!
我々は常にLilyPondをもっと良くしようとしていますので、入力フォーマットも常に改良されることになります。 入力言語が全体として単純になるとか学習が楽になるなどと思われた場合には構文を変更することがありえます。 ずっとこのようにしてきたからこそ、今の優れた構文になっているのだということを御理解下さい。
ほとんどの構文変更はLilyPondと一緒に提供されるconvert-lyを実行して対応できます。
しかしconvert-lyが正しく実行できるには、元のファイルがどのバージョン用で書かれたのかが分からなければなりません。
ですからversion宣言を次のようにファイルに書いておくことが大事です。
バージョンのメジャー番号の変わり目では、単純な編集では処理できない変更が起こりえます。 1.8から2.0へのファイルの変更などは中を良く確認する必要があります。
LilyPondで楽譜を入力する早さはどの程度ですか?
この答えは一つではありません。 入力にかかる時間は、音楽の複雑さやあなたがLilyPondをどの程度使えるかに依るからです。 複雑な構造(段を跨ぐビームや衝突)をもつ音楽は単純な単旋律のを入力するより時間がかかります。 十分な経験のあるユーザーがエディタだけで入力して、 単旋律の音楽をそのまま入力するのに1時間で3.5ページ程度という報告があります。 これは誤入力の訂正やちょっとしたレイアウトのチューニングも含みます。
MIDIキーボードを入力に使いたいのですが
次を試してみて下さい:- Hans Lubの emacs/MIDI input mode
- Nicholas Sceauxの Emacs/MIDI input mode
- RUMOR コマンドライン単声部のMIDI/lilypond入力ツール。
- LilyComp 楽譜を読むのが不得意な人向けのグラフィカルな入力ツール。
新しい入力方法を覚えるのは面倒です。その場合は?
他の方法もあります。別のフォーマットで楽譜を作成することが可能です。 サポートしているフォーマットは、
- MIDI
- LilyPondにはMIDIファイルをLilyPondに変換するmidi2lyが付属しています。
- ETF
- LilyPondには、FinaleのETFフォーマット(ETFについて) を変換するetf2lyが付属しています。
- ABC
- LilyPondには、よく使われているABCフォーマット (ABCについて)を変換するabc2lyが付属しています。
- MusicXML
- LilyPondにはMusicXML(MusicXMLについて)の部分的コンバータの
musicxml2lyと、 MusicXMLを変換するGuido Amoruso氏のxml2ly とが付属しています。 - NoteWorthy
- Mike Wiering氏のnwc2lyはNWCフォーマットをLilyPondに変換してくれます。
- Band In A Box
- Alain Brenzikofer氏のbiabconverter はBand-in-a-boxのファイルをLilyPond用に変換します。
- NoteEdit (開発は中止されています)
- Canorus 活発に開発されている NoteEdit の後継。
- RoseGarden
- RUMOR はLilyPond入力ファイルをMIDIキーボードで作成するインターフェースです。
- LyQI は、emacsで通常のキーボードをピアノのようなキーボード配列で使う機能を提供します。 また、RUMORも併用出来ます。
グラフィカルユーザーインターフェースが欲しいのですが!
私達にはGUIを作る程までの時間がありません。 幸いなことに、そのギャップは他の人が埋めてくれています。 以下は活発に開発されているLilyPondへの優れた出力機能を持つプログラムです。
サポート
インストールやコンパイルがうまくいきません。どうしたら良いでしょう。
もし、バイナリファイルが正しくインストール出来なかったり、 指示どおりやってもうまくいかない場合は、バグレポートを バグリストまで送ってください。 勿論、lilypondユーザメーリングリストに 書いてもらっても構いません。
やりたいことが出来ません。どこに聞けば良いですか?
lilypondユーザメーリングリスト(http://mail.gnu.org/mailman/listinfo/lilypond-user)にメールしてみて下さい。 リストの過去メール(http://mail.gnu.org/mailman/listinfo/lilypond-user))をチェックしてみるのも良い方法です。
バグを見付けました
もし、クラッシュやおかしな出力になるインプットがあれば、それはバグです。 良いバグレポートを私達に送ってください。 必ず同じ問題を発生させる入力ファイルを送ってもらうのが良いです。 原因を特定し易くするため必要最小限としてください。 使っているバージョンとコンピュータの情報を含めるのも忘れずに。 バグレポートの仕方を参考にして、 bug-lilypond@gnu.orgに送ってください。
ある機能を追加してもらえますか?
勿論! 特別な機能が必要でしたらスポンサーについてをお読み下さい。
ただ、言語仕様をちょっと変えるだけなのですが...
言語仕様を作ることで、問題が解決すると思いがちですが、 実際には入力と言語の処理はプログラムの中では10%以下です。 常に、機能の追加は言語仕様だけよりももっと多くの変更が必要で非常に複雑なのです。